『乳房の神話学』は半世紀前の仏の変人から現代のオッパイ星人に送られたメッセージなんだ!
20世紀のフランスに“ロミ”という著述家がいたそうで、著述家と言ってもただの本書きではないナカナカの変人で、しかも変わったモノを集めるのが趣味という男。
若い頃は骨董屋や居酒屋を経営しながら趣味でいろんなモノを集める収集家でもあったのが、歳をとってからはその収集物を題材にして本を書くようになったそうで。
本名のロベール・ミケルを縮めて“ロミ”というペンネームで、いくつかの本を書いてるんですが、元より興味を持って集めたモノが変わってるんで、それを題材にした本のほうも変わってるんですね。
例えば、古今東西の大食・飽食・人の食への貪欲さの資料をまとめた『悪食大全』、古来からのオナラに関する話や絵をまとめた『おなら大全』、そして太った人への賛歌を綴った『でぶ大全』など。
そしてオッパイに対する愛情を豊富な画と共に本にしたのが『乳房の神話学』でして、以前にも邦訳出版された経緯はあるのですが、このほど角川ソフィア文庫から文庫化されて再出版になったとのコト。
いまどきの日本の男達は、「巨乳」だの「爆乳」だのと大きなオッパイに魅せられた人が多いようですが、半世紀前のフランスにもそういう人がいたってわけで。
この本を出版したのは“ロミ”も60歳になる頃で、当時としてはそろそろお爺ちゃんということになるんでしょうが、そんなジジイがオッパイに対する情熱と知識と収集した資料とをこの本にぶつけています。
果たして現代の日本のオッパイ星人と、半世紀前のフランスのオッパイ爺とのシンクロ率が何パーセントになるのかは分かりませんが、とにかくオッパイへの熱い思いは共感できるのではないでしょうか。
ただタイトルが「乳房」であって「オッパイ」ではないところからも分かるように、決してエロい本ではなく非常に文化性の高い本であることだけは間違ってはいけませんね。
いゃ「オッパイ」がエロくて「乳房」がエロくないというわけではないのですが、やはり男が「乳房」ではなく「オッパイ」と言うときはそこに何かしらのエロい感情が入っているように思われますから。
でもでも文化的な体裁で文章を綴ったフランスのオッパイ爺の“ロミ”も、きっとどこかにエロい気持ちはあったはずで、その気持ちをメッセージとして後世の同志達に届けたいという思いがあったに違いないです。
ですからこの本を読むときは、顔では高尚で文化的な様子を維持しつつ、心の奥底でエロい気持ちを揺らめかせるといった、実に高度な心理的テクニックを駆使する必要があるしょう。
本書の内容は以下のようになってまして、
第一章 歴史をたどり風俗からみた乳房
第二章 文学にみる乳房の強迫観念
第三章 乳房用語集
●ロミ『乳房の神話学』に寄せて (ロー・デュカ)
●「乳いろの花の庭から」‐ロミのために (高遠弘美)
最後のコラムには訳者の遠藤氏のオッパイ論が記されていて、著者のみならず訳者までもがオッパイ愛に溢れていることが分かります。
そんな著者と訳者の「ウィー・ラブ・オッパイ」が詰まったこの本ですが、本屋の棚に見つけることでもありましたら、羞恥心など捨ててパラパラとめくってみてはいかがかと。
といったところで、今回はいじょ!